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ヨーロッパの日本食事情 | 欧州で出会った珍妙なお寿司たち

欧州諸国では、日本食ーそれはほぼイコール寿司を意味するーが空前の大ブームです。私が住んでいたフィンランドや今いるスイスでも、かなりの頻度でお寿司レストランを見かけます。

そこで、今回はヨーロッパの日本食事情とお寿司事情について書いていきたいと思います。

目次

街中に溢れかえるお寿司レストラン

日本の回転寿司や回らないお寿司屋さんとは、空気感とお店の構造が全く異なる「お寿司レストラン:Sushi restaurant」というのが街中に溢れかえっています。私が住んでいたフィンランドの町はすごくこじんまりとした小さな町だったのですが、中心街には「寿司を扱っているお店」があちこちに点在しています。

このGoogole mapに写っている範囲は、徒歩15−20分圏内なので、どれだけ寿司レストランが密集しているかがわかると思います。

しかし、日本の回転寿司や回らないお寿司やさんを想像してはいけません。日本人が経営しているお寿司やさんには私の住んでいた街では出逢ったことがなく、大体中華系のオーナーが経営しているお店ばかりです。中には、中華料理店を名乗って、中身もめっちゃ中華料理なのに、なぜか寿司コーナーを設置しているお店や、タイ料理店だけど寿司コーナーを設けているお店もあります(謎)。

そうしたフィンランドにある寿司レストランたちの名前も面白くて、「Itsudemo Sushi Bar: いつでも寿司バー」、「Ravintola Kawaii: レストランかわいい(ravintolaはフィンランド語でレストランという意味)」、「Sushi Panda: 寿司パンダ」、「resutaurant Moshi Moshi: レストランもしもし」、「Genki Sushi: 元気寿司」などなど、あぁ頑張ってきっと日本語の辞書から日本語のボキャブラリーを探したんだろうなと思わせる店名が多くて毎回くすりと笑ってしまいます。

また、寿司バー、ビュッフェというのがこちらでは最もポピュラーなスタイルで、文字通り、ビュッフェコーナーに小さなお寿司たちがぞろっと並んでいて、お客さんは好きなだけお寿司を自分の皿に取ることができます。日本では、寿司が一ヶ所に全部集められてビュッフェのように取るスタイルのお店は見たことがなかったので、最初は少し驚きでした。

Turkuの寿司レストラン(Luckiefun’s Sushi)の寿司ビュッフェ。こんな感じで一角に寿司が所狭しと並べられています。

さらに、大きめのスーパーにも日本食コーナー(=お寿司コーナー)が設置されており、ビュッフェのように好きなお寿司を選んでパックに詰めてお持ち帰りすることもできたりします。(魚介類が新鮮な北海道で長い学生時代を過ごした私は、フィンランドクオリティのお寿司にガッカリすることが目に見えているので一度もチャレンジしたことはありません笑)

これまでに出逢ったびっくりお寿司たち

そもそも、日本のお寿司屋さんのようにネタの種類が豊富なところはほぼ存在しないことが多く、入手することのできる限られた魚介類の中でベストを尽くしているのだなというラインナップがフィンランドやスイスでは多かったです。

フィンランドはノルウェーに近いため、サーモンだけは良きものが揃えてあります。市場に行ってもショーケースの9割はサーモンという有様です。なので、フィンランドのお寿司レストランでは寿司=サーモンと言っても差し支えはないでしょう。使われている魚介類はサーモンを含めて5、6種類くらいしかないかもしれません。

そういうわけで、きっと魚介類の種類が少ないからこそ生まれたであろう、フィンランドのびっくりお寿司を紹介したいと思います!

1)シャリが変

シャリがご飯ではなくて、ご飯が握られすぎていて最早だんごのようになった寿司のシャリ。きっとお箸に慣れていない人がお箸でお寿司を掴んだ時に、ほろほろ崩れないようにという配慮なのだと思いますが、なんとも残念(笑)。 ご飯の密度が高すぎて衝撃でした。

いや、日本のおにぎりでもあんな高密度にはならないわ!クラスメイトが美味しい美味しいと言って食べているのを前に、曖昧に微笑んだ私でした。

2)謎の具材チョイス

いや、フルーツを乗せようという発想はどこから?!しかもそれを堂々と出せるシェフの自信よ…。しかも海苔とフルーツって組み合わせとしてありなのだろうか…。怖すぎてチャレンジ出来ませんでした。

豆腐は、別に悪くないチョイスではあると思うのですが、ヨーロッパで売られている豆腐の不味さはかなりのものです。とりあえず食感が悪い上になんか苦い、という一度こっちで豆腐を買ってトラウマになったので、豆腐寿司も華麗にスルーしました。

3)とりあえず揚げるの大好き&照り焼きソースかければOK

フィンランドでは、照り焼きソースが大人気。TERIYAKI SAUCEってラベルに書いてある調味料までスーパーで売っているほど。というわけで、照り焼きは正義。揚げ物も正義。カリフォルニアロールを考えた人は、きっと私天才だって思っていたに違いないですね。寿司のバラエティーを増やすために(?)、やたらと揚げ物系お寿司が多い寿司レストランもありました。ドイツにいる友人も似たようなことを言っていました。

一度日本に来てほしい。。。

ということで、フィンランドのお寿司事情を説明してきました。私のヨーロッパ系のクラスメイトも寿司好きが多くて、ことあるごとに寿司行こう〜って言っていたし、実際そういう寿司レストランに行ったら、アジア系はほぼいなくて割とヨーロッパの人々がひしめいていたりしました。

日本の文化が、少し(?)アレンジを加えられて遠い国でも楽しまれているというのは嬉しいことでもあります。しかし、フィンランド人の親友やクラスメイトがお寿司大好きって言っているのを聞くたびに、「一度でいいから日本に来て、出来れば北海道で本物のお寿司を食べてほしい」と切に願わずにはいられません。

というのは、フィンランドでは(もちろん内陸スイスでも)、お魚が新鮮ではなく美味しくないことが多いからです。一度フィンランドの大学のカフェテリアで、フィンランド名物料理:”サーモンスープ”が出たことがあったのですが、一緒に入っていたニジマスが本当に不味くて死にそうになりかけたことがあります。

ヨーロッパで魚嫌いな人が多いのも、頷けます。魚は新鮮じゃないと本当に美味しくないのです。(同じ理由で私は東京でお寿司を食べるのを極力避けています。)ちなみに「カフェテリアや会社の共同キッチンで、魚料理を温めるのは死刑に値する!」とまで言っていた魚嫌いのヨーロッパ系のクラスメイトもいました。

そういう魚嫌いの人たちにも、寿司が大好きな人たちにも、日本に来てオーセンティックなお寿司を楽しんでもらえたらなと思います。

次回は、何を隠そう魚嫌いである私のスイス人パートナーが日本で生魚にチャレンジしてみた話でもしようと思います:)

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この記事を書いた人

フィンランドで修士号取得(MSc), スイス大学院の博士課程在籍中。専攻は神経科学。興味は人間の脳とこころ, フェミニズム, アート, 言語学習。

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