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フィンランドの大学院卒業|知らぬ間にフィンランドは私の圧倒的ホームになっていた

修士課程を正式に卒業するために、スイスからフィンランドに一瞬だけ戻ってきました。

2月末までにはコースワークを全て終わらせ修論も提出してアクセプトされていたのですが、今回のHuman Neuroscience Symposium (いわゆる修論発表会)で修論をプレゼンしてオフィシャルに卒業が確定します。本当はスイスからオンライン参加しても良いと言われていたのですが、せっかくならアカデミックな議論は対面でしたいし、久しぶりに友達やクラスメイトに会いたいし、フィンランドの空気を吸いたいということで現地での参加を決めました。

チューリッヒ空港から機内に乗った時から、フライトアテンダントさんがTerve!とかmoimoi! とか挨拶していて、ちらほらとフィンランド語独特のリズムの会話が聞こえてきて、テンションがすごく上がりました。

ヘルシンキ空港についた瞬間も、なんというか、(前回フィンランドからスイスに引越しした時の死にそうだった思い出)など色々と蘇って、『帰ってきた…!』としみじみしました。とても心地よい安心感。前回の記事で、私はフィンランド社会の一員として属していたわけではなかったみたいなことを書きましたが、いくら帰属してなくとも好きな場所は好きなんだと再確認。

沢山シナモンロールとピーラッカを買って帰るぞと意気込んでいます。

(帰りの飛行機の前に山ほど買いました)

シナモンロール
スーパーで買ったシナモンロール。冷凍庫にぶち込んで、食べたい時に解凍するスタイル。
手のひらより大きいサイズですが、コーヒーのお供にぴったりで、どう控えめに言っても最高です。
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修士課程のコースワークのプレゼンだったらいつもあまり原稿は書かずに、そのままアドリブで臨むことが多かったのですが、今回ばかりはきちんと準備をしようということで原稿を書き始めたものの、なんかものすごく長くなりそうだったので仕上げる気になれず、原稿は放置したままフィンランドに着いてしまいました。これぞまさにProcrastinationの見本です。(原稿を用意してる時に、パートナーが覗きにきて、これ読み上げるのに何日かかるの?って茶々を入れられましたw)

シンポジウムの前日になって、流石に時間オーバーしそうだから練習しなければまずいということになって、友達が2時間くらい私のプレゼンを聞いては修正しカットしを繰り返しました。当日、普段よりおしゃれをしてスーツやらを着たクラスメイトに囲まれ、少し緊張しながらも発表に臨みました。結局最後まできちんとした原稿は書かなかったけど、自分で納得のいくプレゼンができました。(練習に付き合ってくれた友達のおかげで無事に時間枠にも収まったし。)こうしてシンポジウムでの修論の発表を終え、正式に修士課程(Master of Science)を修了しました。

    祝 卒 業!  

2年間の修士課程のプログラムで、2021年の8月から始めたのでフィンランドに来た当初は2023年の夏までしっかりフィンランドに居るのだろうなと想定していたのですが、博士課程の契約など諸事情により、予定よりかなり早く2023年の2月くらいには全てのコースワークと修論を終わらせていました。実質1.5年で終わらせたことになるので、振り返ると沢山の人に出会い多くの事を学んで、すごくすごく長い月日が経ったように感じるけど、逆に1年半しか経ってないのかと驚いています。日本に居たのなんて遥か遠い昔のようなのに。

きっと、「今の私は、もう1年半前に日本を旅立った時の私ではない」という感覚がナチュラルに自分の中にあるから、過去の自分や過去の場所が遠く感じられるのかもしれません。思えば遠くまで来たものだ。

フィンランドに来た当初は医学のバックグランドがあったとは言え、神経科学の基礎もメソッドも何も分からない所からのスタートだったけれど、この修士課程のプログラムを終えて自分はようやく神経科学という学問領域に立つことができるようになったと思います。臨床から実験まで幅広く神経科学の基礎を学び、分野を俯瞰できる見晴らしの良さも感じます。もちろん私はまだまだ本当に知らないことばかりだし習得すべき手法も沢山あるけれど、全然違う分野から専攻を変更して、今は神経科学分野に浸り、研究し、語る資格ができたというのは凄いことだと思います。私が今いる場所に立てているのは、ひとえにこのフィンランドでの修士課程のお陰です。フィンランドならではのゆったりとした環境で、沢山の素敵な友人、フラットに接してくれる優しい先生方に恵まれて、とても豊かで良い時間でした。

またちょくちょくフィンランドに帰りたいと思うほど、修士課程を過ごした場所は私にとって愛おしいホームになっていました。

次は涼しい夏頃に、サウナと湖とシナモンロールを味わいに帰ります。

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この記事を書いた人

フィンランドで修士号取得(MSc), スイス大学院の博士課程在籍中。専攻は神経科学。興味は人間の脳とこころ, フェミニズム, アート, 言語学習。

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