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他人の人生情報を仕入れないことにしました|自分と他人を比べないために。

フィンランドからスイスに帰ってきた夜、疲れていたのでうっかりFacebookを開いてしまいました。こういうSNSの良くないところは、他人の人生を垣間見ただけでその人の人生を知ってしまったような気分になり、かつ自分と全然違う人生の芝は青く見えてしまうことです。

写真や一部の近況報告や肩書きなどは、その人が経験しているもののほんの一部にすぎないのにも関わらず、情報の足りない部分を自分の想像で補ってしまいがちです。特に良い方向に補いがち。あかん。自分の人生は自分が経験しているので、しんどいことや辛いこと、つまらないことなどネガティブな事を知り尽くしており、そちらに目が行きがちですが、他人の人生の辛さや悲しみは大抵SNSからでは推測することができないし(基本人生のポシティブサイドを表に出しがち)経験できません。他人の人生で起きているネガティブな事を知らずに良さげな所のみを見て、かつ良さげなところを勝手に自分の頭の中で増大して、「OOさんは凄いなぁ、仕事も充実してプライベートもいつも楽しそうだなぁ」と、自分の人生と比べて悲しくなるパターンが多いです。

School of Life というYoutube の Self-Esteem という動画で、自分のSelf-Esteem(自尊心)を決定する要因の一つに Peer Group (年齢・社会的立場・境遇などがほぼ同じ人たちで構成されるグループ)を挙げています。

” We don’t feel inadequate in relation to everyone who has more than us. Only those we’ve come to see as belonging to another crucial determinant of self-esteem: peer group. By this, we mean the people who were educated with us, who are around our age and who live in our part of the world. These people matter infinitely more to our sense of well-being than the population at large. 

Everytime someone we went to school with, does better than us, a small part of us will die. We should therefore take immense care, to attend very ordinary schools and after graduation, to throw all invitations to reunions straight in the trash. “

Alain de Botton – Self-Esteem (School of Life)

(高校や大学の同窓会からは逃げましょうって冗談まじりに言っているAlain de Botton さんお茶目で好き笑)

つまり比較は、自分と同レベル・同じ年齢層・社会的ステータスだと(勝手に自分が)思っている人々とするものだということです。それこそ高校や大学の同期とか。例えば私はエマワトソンやイギリスの女王と自分を比較して嫉妬したことなど一度もありません。世界が違うとわかっているからです。明らかに同じカテゴリーに入る人間ではないでしょう笑。

フィンランドに行って周りに日本人が全然いなくなった時に、すごく楽だったのは自分との直接的な比較対象がいなくなったことです。周りの欧州出身のクラスメイトとはバックグラウンドもスキルセットも全然違っていたので、なんというか比べる意味があまりなかった。(相手が凄すぎると、嫉妬感情なんて湧かないことに気づきました。)

ところが、SNSなどを見てしまうと、同じ高校大学の知り合い(:大親友とかではなく知り合い程度というのがポイント)や、同じように海外で暮らしている赤の他人(日本人)と自分を同じカテゴリーに入れて、比べてしまう。無意識のうちに、相手をジャッジして自分と張り合えるカテゴリーにぶち込んでしまうというのは、人間の悲しい性です。

羨ましい・妬ましい・気に食わない等の感情は、相手が自分の人生に無い何かを持っているように思えるから。特に自分が潜在的に欲しいと思っているが手に入っていない何か。誰か知り合いの投稿を見て、「この人が羨ましいのは自分にないモノを持っているからだな」とか、「実は密かに自分はこういうキャリアを望んでいたんだ」と、気づくことができるのは自己認知を高めるし、ある程度は健全かもしれませんが、度が過ぎる比較は身と心を蝕む気がします。

反対に、自分と本当に親しい友人の人生アップデート・成功はとても嬉しいもの。特に親しい相手であれば、喜びや成功だけではなく、その裏側の努力やとんでもない苦しみも知っていたりすることが多い。それゆえに、親しい人には心から祝福したいし、祝福できると思います。

結論として、その人の大変なことも含めた包括的な情報を得るような関係性ではない赤の他人・昔の知り合い程度の人の人生近況報告・情報を仕入れるのを、一切やめると良いと思いました。

いろんな他人の人生を見ても嫉妬しない鋼の心や天使のような寛容さを持てるように頑張るのではなく、そもそも比較対象を自分の脳内に入れないことが一番メンタルヘルスを高めそう。

ということで、ふとした時に他人のSNSを見てしまわないように、全てのデバイスからログアウトしました。今後はできる限り、他人の人生情報を入手しません。

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この記事を書いた人

フィンランドで修士号取得(MSc), スイス大学院の博士課程在籍中。専攻は神経科学。興味は人間の脳とこころ, フェミニズム, アート, 言語学習。

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